世界3大幸福論(ヒルティ、アラン、ラッセル)読みました オススメは『アラン幸福論』

2019年3月11日

「幸福論」を読みたいと思っても、3冊もあれば迷いますよね。

忙しいみなさんのために、読み始める前に知っておいた方がいいことを先に調べておきました。

同じ「幸福論」というタイトルでも、内容や作風はそれぞれ大きく異なります。

これから読む皆さんの参考になればと、まとめてみました。

ヒルティ『幸福論』 ★☆☆☆☆

幸福論(第一部)(岩波文庫)

作者:ヒルティ著、草間平作訳

出版社:岩波書店

発売日: 1961/1/1

メディア:文庫(292ページ) ※全3作で、ページ総数1025

 

まず、こちらのヒルティ幸福論。

膨大な本書を一言で要約すると、

「幸せになりたければ、キリストを信じなさい」

この一言に集約されます。

 

 

ヒルティ幸福論は、とにかく取っ付きにくいです、笑

何がネックかって、タイトルに「第一部」とあるように、全部で3部構成なんです。

 

全て揃えると、以下のような感じ。

幸福論 第3部 (岩波文庫 青 638-5)+幸福論 第2部 (岩波文庫 青 638-4)+幸福論 (第1部) (岩波文庫)

3点セットで、総額:3,046円。

ページ総数、なんと1,025ページ!!

読む前から嫌気が指しそうです、笑

 

 

また、長いだけでなく、めちゃくちゃくどい!!

第一部の、訳者あとがきに

「何といっても、彼が最も熱心に精読して強く感化された書物は『聖書』であり…」

とあるように、

その長文の大半は、「キリスト教」についての記述です、笑

 

文脈を変えて論点を変えて、

同じような内容の話が延々と繰り返されるので

読んでいてとても退屈に感じました、笑

 

 

キリスト教以外の話題についても、

・有意義な仕事をしなさい

・愛しなさい

・利己心、金欲、名誉欲を捨てなさいetc

と、月並みな警句がくどくどと繰り返されます。

 

 

また、訳者である草間さんの注釈が、章末とかではなく、文中に何度もカットインします、笑

この注釈が、また長い長い、笑

 

補足説明だったり、草間さん自身の意見であったり、

長い時には、注釈だけで見開き1ページを埋めることもあります。

草間さんには大変申し訳ありませんが、私は注釈を全てスキップしました、笑

また、スキップさせても何ら問題はないように感じます。

 

 

ですから、ヒルティ幸福論は、あまりオススメできません

また、どうしても読みたいというのであれば、

とりあえず、どれか一部だけ購入して読んでも十分だと感じます。

いかんせん話の重複が多いので、笑

 

 

アラン『幸福論』 ★★★★★

幸福論(岩波文庫)

作者:アラン著、神谷幹夫訳

出版社:岩波書店

発売日: 1998/1/16

メディア:文庫(325ページ)

 

アラン『幸福論』は、世界三大幸福論のうちで、最もオススメです!

 

アラン幸福論は、読破してはじめて完結するような、体系的に記されたものではありません。

アランは、「プロポ」と呼ばれる、文庫本にして数ページ分の短い文章を書いて、新聞に投稿していたそうです。

93章のプロポを寄せ集めて出来上がったのが、本書である『アラン幸福論』です。

したがって、面白くないプロポを読み飛ばしたりと、自由な読み方ができるので、取っ付きやすいです。

 

 

まえがき(「モール・ランブラン夫人への献辞」)にあるように、アランは「幸福」を、日常生活の至る所に細切れになって存在する些細な幸せ、と定義します。

「宣言するだけで人は幸福になる」とアランは説きます。

「夢を叶えて大金持ちになりたい」のような幸福像をイメージする人にとっては、本書は少し肩透かしになるかもしれません。

 

 

例えば、外出中に通り雨に遭った際、機嫌を損ねるのではなく

「結構なおしめりだ!」

と、雨を賞賛せよとアランは説きます、笑

これは極端な例ですが、一貫して日常の些細な出来事にフォーカスされています。

 

 

巻末の訳者解説で、神谷さんは

「アランの文章には『詩』がある」

と言っています。

「雨が降っている。瓦に雨の音がして、無数の雨樋が切れ目なく歌っている。空気が洗われて、まるで濾過されたみたいだ。雲は切れ切れになった華麗な衣装のようだ。こういう美しさがわかるようにならねばならない」(アラン)

アランの文章は詩的な響きを持ち、読み物としても非常に面白いです。

 

 

また、幸福に対するアランの洞察もさることながら、アランの人間観察眼・心情の分析も痛快です。

「憂鬱病に陥った人々は我々に、深い悲しみにとらわれた者の姿を誇張した形で示している」

「人が自分の仕事にすぐ不満を言うのは不注意からであり、またちょっとした儀礼的な意味からだ」

このように、鋭い観察眼で人の心情が描写されており、一冊の小説を読んだ気分にもなれます。

 

 

簡潔で読みやすく、また詩的雰囲気があって面白い。

人の心情が丁寧に分析されていて、読んでいてどこか小説を読んでいるような気分にもなれる。

ぜひ、アラン『幸福論』読んでみてください。

 

 

ラッセル幸福論 ★★★☆☆

ラッセル幸福論(岩波文庫)

作者:ラッセル著、安藤貞雄訳

出版社:岩波書店

発売日:1991/3/18

メディア:文庫(294ページ)

 

『ラッセル幸福論』は、3大幸福論の中で、最も体系的にまとめられている書物です。

 

本書の構成は、

第1部 「不幸の原因」 、第2部 「幸福をもたらすもの」

の2部構成になっており、全17章から成ります。

 

その一部を紹介すると以下の通りです。

第1部 不幸の原因

第1章 何が人々を不幸にするのか
第3章 競争
第4章 退屈と興奮
第5章 疲れ
第6章 ねたみ

 

第2部 幸福をもたらすもの

第11章 熱意
第12章 愛情
第14章 仕事
第16章 努力とあきらめ
第17章 幸福な人

 

このように、巻頭に目次が付されているのは、『ラッセル幸福論』のみであり、

最も体系的に記されている、ということができます。

そういった意味では、3大幸福論の中で

最も読みやすい

ということができるかもしれません。

 

第一部では、

幸せになるための方法を考察する前に、

生活に不満をもたらすものは何か?

その原因について、丁寧に考察されています。

 

例えば、

第3章「競争」では、

 

「この生存競争に参加しているとき、人々が恐れているのは、明日の朝食にありつけないのではないか、ということではなくて、隣近所の人たちを追い越すことができないのではないか、ということである」(ラッセル)

 

と、なかなか含蓄の深い格言です。

 

 

第2部では、幸せになるための方法が考察されます。

具体的には

「趣味」・「仕事」・「愛」・「子を授かること」等々

様々な文脈から考察されます。

 

含蓄の深い格言をいくつか引用すると

第11章 「熱意」

「人間、関心を寄せるものが多ければ多いほど、ますます幸福になるチャンスが多くなり、また、ますます運命に左右されることが少なくなる。仮に一つ失っても、もう一つに頼ることができるからである」

と、趣味や関心の幅を広げるよう説きます。

 

第14章 「仕事」

「最も優れた仕事には、建設性という要素が存在する。(中略)建設の仕事は、完成したあかつきにはつくづく眺めて楽しいし、その上、もうどこにも手を加える余地がない、と言えるくらい完璧に完成されることは決してない。最も満足すべき目的とは、一つの成功から次の成功へと無限に続いて、決して行き詰ることのない目的である」

と、建設的な仕事を持つことの意義について説きます。

 

ヒルティのように、宗教性に傾倒することもなく、アランのように、文学的でもありません。

『ラッセル幸福論』は、良くも悪くも、最も合理的に記述されています。

そういった意味では、やや物足りなさを感じるかもしれませんが、最も読みやすいことには変わりありません。

 

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Posted by CODY